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子どもの健康のハテナ?
       〜インフルエンザの予防注射〜 



   寒い季節がそこまでやって来ました。
  皆さん、インフルエンザの予防注射をどうしますか。
  「予防注射、やる?やらない?」と悩んでいる方もいるの 
  では・・・。
   そんなインフルエンザのハテナを、青森県立中央病院
  小児科部長の安保亘先生にお聞きしました。

Q:インフルエンザと風邪は違うとよく言われますが、どんなところが違うのですか。

A:インフルエンザは風邪と同じようなのどの痛み・鼻水などの症状の他に、高熱・頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状がみられます。
 さらに、気管支炎・肺炎、特に小児では中耳炎・熱性けいれんなどを併発し重症化することが特徴です。まれにですが、急性脳症になる場合もあります。
 また、いったん流行が始まると、あっという間に広がり、膨大な数の人を巻き込んでしまいます。
 大きな違いは以上の3点です。


Q:インフルエンザの予防注射はやはり必要でしょうか。また、効力はどれくらいあるのでしょうか。子どもに予防注射をしたのに感染したという話を耳にしますが…。

A:確かにインフルエンザのワクチンの有効率は他の予防注射に比べて低いです。
 しかし、感染を少しでも減らすため、または、重症化や合併症を防ぐという点から考えても、予防注射をおすすめします。インフルエンザにはいくつかの型がありますが、現在は流行する型を予測する技術も高まっています。
 また、一時期、インフルエンザの予防注射の副作用について騒がれたことがありましたが、副作用はあったとしても軽微なものがほとんどです。極めてまれに脳症になった例もありますが、インフルエンザに感染して脳症になる確率に比べ、かなり低いです。

 Q:予防注射以外にもインフルエンザに感染しないように注意することはありますか。例えば、寒いところや人ごみは避けたほうがいいのでしょうか。また、免疫力をつけるために普段から気をつけておくことはありますか。

A:寒さというより乾燥に気をつけて下さい。空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下するのでインフルエンザに感染しやすくなります。外出時マスクをしたり、室内の湿度を加湿器など50〜60%に保つということが効果的でしょう。
 インフルエンザは感染した人の咳、くしゃみ、などによる飛沫感染なので、流行してきたら、人ごみや繁華街への外出を控えるのもいいと思います。
 普段から、十分な睡眠や休養、バランスのよい栄養をとり、体力や免疫力を高めることが大切です帰宅時にうがいや手洗いをすることも、一般的な感染症の予防となります。
 でもやはり確実といえるのは、予防注射なんです。

Q:もし、インフルエンザに感染してしまったら、なるべく軽くすむようにするにはどうしたらいいでしょう。

A:ここ数年、診断キッドがあるし、特効薬もあるので、とにかく早めに受診して下さい。そして、無理せず体を休める、特に睡眠を十分にとる、水分を十分とることが大切です。
 自己判断で単なる風邪と勘違いして軽く考えているうちに、重症化してしまう可能性がありますから。

Q:インフルエンザになってしまったら、他の子にうつさないよう注意することを教えて下さい。感染力の強い時期はいつですか。幼稚園や学校はどれくらい休むことになるんでしょう。

A:早めに治療して安静にしている。それは自分のためだけでなく、他の人にインフルエンザうつさないことにもなります。
 インフルエンザは、感染して症状がでてから3〜7日間はまわりにうつす可能性があるので、その期間は熱が下がっても配慮した方がいいでしょう。
 学校保健法では、「解熱した後2日を経過するまで」がインフルエンザの出席停止期間となっていますが、「ただし、症状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認められた時はこの限りではない」ともなっており、医師の裁量が認められています。

Q:最後に、このページをごらんの皆さんに、先生からメッセージをお願いします

A:確率としてはかなり低いものの、小児がインフルエンザにかかると急性脳症による死亡例もあります。ひとりの子どももそうなって欲しくない。インフルエンザの大流行がなければその確率がさらに低くなるわけです。
 そのためには、インフルエンザの予防注射です。是非、11月中に1回目の注射を済ませて下さい。

          安保先生、ありがとうございました。