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子どもの『性』のハテナ?

 子どもと『性』の話をしようとした時、たいていの人は、ちょっと構えてしまいますよね。中には逃げたくなる人もいるかもしれません。
 子どもには、健康的な性の知識を身につけて欲しい。思春期になった時、自分も相手も大切にしてほしい・・・。そのために、親として、大人として、子どもに何をどう伝えたらいいのか、おおいに悩むところですよね。
 そんな子どもの『性』のハテナ?について青森県立保健大学 助教授 益田早苗先生に教えていただきました。

性の知識はいつから?
 「性教育」の内容はとても範囲が広く、@自分自身に自信を持ち、自分の性別や身体の変化をプラスに受け入れること。A家族や友だちの関係が安定し、思いやりの気持ちや命の大切さを実感できること。B恋愛や性的な関係を理解し、望まない妊娠や性感染症を防ぐこと。C性的暴力や性犯罪の被害者・加害者にならないこと、等があげられます。
 @とAは赤ちゃんの頃から小学生の頃までに十分身につけられるといいですね。BとCは中学生になってから、その子の個別性にもよりますが、基本的なことは教えていくべきだと思います。
 「性」は私たちが誕生した瞬間から命を終えるまで存在する重要なものです。年齢や発達段階にあわせて知識を提供することが必要です。

『赤ちゃんはどうしたらできるの?どこから生まれるの?』
にどう答える?
 性教育で重要なことは、非科学的なことやウソを教えないということだと思っています。幼稚園児に「赤ちゃんはどうしてできるの?」と質問されると、大人は「性行為をどう教えよう?困ったなあ。」と構えてしまいますが、“お父さんとお母さんが愛し合って仲がいいとできるんだよ”、とか「どこから生まれるの?」には“お母さんから生まれるんだよ。女の人にはおしっことウンチが出てくるところの間に赤ちゃんが生まれてくる通りみちがあるんだよ”などと答えると、案外「ふうん、そうなんだ。」と納得します。
 年齢的にも“お父さんのペニスがお母さんの…”という答えを期待してはいないし、そこだけ具体的に説明しても理解が難しいという現実があります。反対に、“○○ちゃんはどう思う?”と聞いてみると、こどもはなかなか独創的なことを言いますので、新たな話題ができるということもあります。妊娠や出産の子ども向け絵本を利用するのもいいですね。大人は“コウノトリさんが運んでくるんだよ”とか“お母さんのお腹が割れて…”等とつい答えたくなりますが、「ウソはいけない」でしたよね。

性行為(セックス)についてはいつ頃から教える?
 科学的な知識ということで、幼稚園や小学校低学年のときから性行為を教えていくという考え方もあると思いますが、恋愛や人間関係、性行為の意味や危険をも含めて伝えるためには年齢的に無理があると思います。
 一方、中学生ぐらいになりますと、自分の二次性徴や恋愛・人間関係、妊娠のメカニズムや性感染症についての理解ができるようになります。
また、友だちやマスコミ情報も増えますので、この時期に性行為について正確に伝えていくことが大切だと思います。しかしながら、親子間で性行為について話をするということは、お互いに非常に抵抗感があるものです。また、親子間での直接的な性行為の話題は子どもの性行動を加速させるという調査データもあります。学校や専門家の性教育をうまく活用し、連帯することが大切です。

子どものマスターベーション・性器いじり
 子どもがマスターベーションしているとなると、特に女子の場合はすんなりと受け入れできない親御さんも多いと思います。ですが、男女とも性的に発達していく過程では健康なことです。男子は高校3年生までにほぼ90%近くが体験し、成人男性ではほぼ100%となります。女子は男子より経験している割合は少なくなっています。思春期の時期、男子の性的欲求は人生の中でももっとも強い時期ですから、欲求を自分でコントロールするのは当然の行為ともいえます。回数や頻度が多くなると罪悪感を持つ子もいますが、身体を傷つけたりする方法でなければ心配は要りません。ですが、あまりマスターベーションにとらわれるのも心配になりますよね。思春期の頃は性的欲求も、活動エネルギーも高まる時です。適度な運動をしてエネルギー発散は実は利にかなっていますので、運動や戸外での活動を促してみるのも良いですね。中高生の体育系の部活はお勧めです。
 性器いじりは」乳幼児によく見られます。こちらも特に心配することはありません。子どもは自分の性器を触ると気持ちよいこと、気が休まることを感じています。この経験は決して悪いことではなく、発達段階でよくあることです。精神的に不安な時、寂しい時などに多く見られ、親が神経質に関わると罪悪感を覚えます。こちらも禁止するのではなく、気になる時は、子どもとの関係を見直す、楽しめる遊びを促すなどを工夫してみてはいかがでしょうか。

性被害を防ぐために
 性被害は乳幼児期から存在しています。中高生以上になるとある程度理解できますが、幼稚園時代から小学校低学年では、性に関する知識がないため被害を受けやすくなります。女子だけでなく、男子も被害を受けているという実態があります。基本的には、水着で隠れる部分(プライベートパーツ・プライベートゾーン)は大切なところ、誰にも見せたり触れらせたりしてはいけないということを、子どもの年齢や理解度にあわせて伝えていくことが必要です。そして、そのようなことがあったらすぐに両親や先生に伝えることを、おりに触れて話しておくといいですね。また、家族以外の誰にも、ついて行ったり、車に乗ってはいけないことを教えることが大切です。最近は、このような内容の絵本も多く出版されています。他人を信用してはいけない世の中は残念ですが、性被害を少しでも未然に防ぐためには必要なことです。

男子が気になる包茎
 若い男性のなやみで多くを占めるのは包茎についてです。日本人男性の4割が包茎とも言われ、大変身近な悩みとなっています。結論から言えば、手術の必要はありません。亀頭が出てくるように毎日少しずつ手で包皮を下げるようにします。赤ちゃんの頃から母親がこのようにして、自分でできるように教えておくと良いと思います。皮膚は伸びるので、このように習慣づけると亀頭は露出するようになります。“皮をむくように習慣づけ、さらに入浴時に良く洗う”ことが大切です。“手術は必要ない”というメッセージはとても安心材料になると思います。

性教育での親の役割ってなんだろう?
 性教育は性器教育や避妊・性感染症予防だけではありません。実は家庭環境や親子関係がとても大きな役割を果たしています。親子がお互いに愛情や関心を持ち、居心地の良い家庭環境であることが性教育では基礎工事になります。その基盤をしっかりできていれば、子どもたちは正しい知識や情報をもとにして、それぞれの健康な性行動や性知識を育てていくことができます。親としては、まず、夫婦関係を安定させ、家族が家に帰るとほっとするような家庭をつくることが大切です。
 小学校低学年までには、子どもたちが自分の存在を肯定し、「生まれてきて良かった。」「家族に大切にされている。」と思えるような子育てを目指しましょう。思春期になったら、母親は娘の月経に毎月関心を持ち、手当てや月経痛についてのサポートをしてみましょう。他の様々な身体の悩みも話しやすくなります。父親は息子のマスターベーションやエッチな本、写真等について、先輩として自分の経験を話しながら聞いてあげるといいですね。もちろん母親抜きで。もし、父親・母親がいなくても、それに代わる同性の大人が対応できるように工夫すればよいのです。
子どもたちの性行動が加速する要因は、興味や関心の高まりだけではなく、寂しさや自己否定、家庭の問題が大きいということを忘れてはいけません。



       益田先生、ありがとうございました。