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 健康な心と体の為に〜食 育〜 

 2005年7月に「食育基本法(目的:健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむため、食育に関する施策を総合的かつ計画的推進すること等)」が施行され、急速に色々な場面で「食育」を耳にし、目
にする機会が多くなりました。しかし実際のところは「食育」という言葉だけが一人歩きし、まだまだ理解や行動は伴っていないようです。
 今回は、青森県立八戸第一養護学校で教鞭をとる金澤聡先生にお話を伺いました。専攻は社会科だということで、あまり「食育」とは縁がないようなのですが…。
 そんな金澤先生が「食育」に目を向けたきっかけとは何だったのでしょうか?

きっかけ
 実は整体師もされる金澤先生のテーマは「健康」だそうです。教員として子どもたちと関わって10年。数年前から「子どもたちの生きる力が年々弱くなっている。」と、実際に子どもたちとの生活の中で強く感じるようになったそうです。夏休みの日記を利用して子どもたちの「食生活」に目を向けてみたところ、金澤先生曰く「結果はボロボロ…」だったそうです。
 そこで「食べるということ」と「生きる力」のつながりに着目。子どもたちに「体の健康・心の健康・生きる力」を獲得する手段として、「食育」を始められたそうです。

食育とは?
 食と健康の関係を考えたとき、多くの方が「重要な結びつきがある」と認識し、「健康な体・心」でありたいと思っているのではないでしょうか。そして「この食べ物・ビタミンは、体のこんな所に良い」とか「この栄養素は、体でこんな良い働きをする」とか。「食べ方」についても「時間」だったり「量」だったり豊富な知識をお持ちですよね。でも振り返ってみるとそれらの知識を十分に生かしきれていない、というところではないでしょうか。「良いと分かっているのに、なかなか出来ない。」「悪いと分かっているのになかなかやめられない。」簡単なようで意外に難しいことですね。
 知識を行動に移せるように意識を育て、動機付けをする。それが「食育」なんです。

朝ごはんは大切か?
 朝食をとらずに一日を始める…。
 今更「朝ごはんが大切かどうか」なんて、考える必要もないかもしれません。でも実際に園や学校の先生からの声として、また統計の結果として「朝ごはんを食べない、食べられない、食べさせてもらえない子どもたち」が多くいるようです。

実践
 そういう子どもたちに「朝ごはんを食べるという行動」を起こさせるにはどうすればよいでしょうか?
 朝ごはんを食べるということは、とても大切なことだと知っているのに食べられない。でも食べる方向に進めたい。そういうときの実践として、金澤先生はまず一週間の生活のチェックをしてもらうそうです。チェック項目は@就寝時間、A夕食の時間、B就寝前、最後に物を食べた時間の3つです。結果をみると本人も驚くそうです。

     生徒 「寝る時間が遅いなぁ。その上寝る前に意外に食べてるものなんだなぁ。」
     先生 「昨日の夜寝る前に食べた物は、今頃君の体のどの辺にあるのかな?」
     生徒 「(腹部に手をあてながら) きっと、まだ消化されていないかも…。」
     先生 「朝、食欲が出ないことや、午前中頭がボーッとするとか、体調不良も
          それに関係するのかな?」
     生徒 「そうかも…。」

と、こんな会話から自分の生活リズムの改善への気付きが生れるそうです。
 気付きからどうすれば良いのかという具体的な行動が見えてくるので、実際に行動に移しやすくなるようです。

家庭での食育
 人間の脳は、おおよそ8才までにほぼ完成するといわれています。ですからどんなことにしても「基本」は8才までに身につけておくと良いのかもしれません。しかし食育に関しては「食の発達段階」にあわせていくらでも取り返して行けますので、表1を参考にその子なりの食の発達を促し、見守ってあげてください。
 あまり難しく考えずに、基本は「できるだけ規則正しく普通の生活をする。当たり前のことをするだけ。」なんです。「朝早く起きて、時間どおりに三食美味しくいただいて、夜も早く寝て…。」あまり完璧な生活を求めずに、6割できればOKと思って下さいね。完璧主義は体にも心にもあまり良くありません(笑)。

古き良きモノ〜先人たちのエッセンス〜
 人間はもともと日が明るいうちは活発に、暗くなれば静養・睡眠に向かっていくのが体の基本のリズムです。しかし現代では色々な環境の変化によって、それとはかなり逆行しているようです。それに太陽の昇降と共に生活できるかといえば、そうでもありませんよね。
 コンビニエンスストアーやスーパーなどはもちろん、夜遅くまで出かけられる場所も増えていますし、少し前までは大人の行き場所だったカラオケや居酒屋なども、赤ちゃんや子ども連れでも入りやすくなっています。子育て中の方もそうでない方も、時には息抜きは大切です。でも大人の生活リズムを子どもに押しつけてはいませんか?
 最近は多様な価値観が求められ、認められる社会になりましたから、色々な場面で「生活のしやすさ」は、日々良くなっていると感じるのではないでしょうか。しかし大人が生活しやすい、快適だと感じる生活に、「子どももそう感じているとはいえない」こともあるでしょう。
 昔はどこの家も大家族で、おじいちゃん、おばあちゃんとの生活が普通でした。ですから生まれた時から食や健康、遊び、しつけなど沢山の「昔からの伝承・伝達」がありました。
 しかし今は核家族が進んで、「昔ながらの良いこと」「日本の生活文化・食文化」を知る機会も少なくなってしまい、何かというと新しいモノへ心動かされる傾向があるようです。もちろん新しいモノも素晴らしい。でも少し立ち止まって、ときには先人達のエッセンスを取り入れて見るのもいいのではないでしょうか? 

                       〜食の発達段階(目安)〜(表1)
 乳幼児期(0〜2才位)

 幼児期(〜6才位)

 児童期(〜12才位)

 青年期(〜18才位)

 成人期(〜30才位)

 壮年期(〜50才位)

 老年期
 食と出会い、他者から与えられる時期

 積極的に自ら関わる時期

 しつけを基にした食習慣が確立され完成する時期
 
 食習慣が自立する時期

 食の幅が広がる時期

 生活習慣病などを考えた食を考える時期

 体に負担のかからない食を考える時期

 「食育」なかなか奥が深いようですね。全てを理解するには時間がかかりそうです…。でも「食べることは、生きる事に真っ直ぐに通じている」という事を再確認し、「食べる事を大切に思う事」から初めてみると良いかもしれませんね。