ある平日の昼下がり、買物をしていたら、「園長先生。」と声をかけられました。振り向くと、女子高生が。しかも、今どきのはでな化粧をし、髪を染め、制服はツンツルテンと短い。びっくりして、「誰だったかな。」と聞くと。「先生。私のことわかんないの。」と言う。「そんな化粧じゃ、わからないよ。」と答えると、はじめて「○○。」と名のりました。10年以上も前に、幼稚園に来ていた近所の子で、そう言われると確かに面影が…。つい、「あら。○○ちゃん。どうしたの、学校は。そんなカッコウして。お母さんが泣くよ。」と言ってしまいました。彼女は、悪びれる風もなく、「今だけ、今だけ。」と返答。似たようなカッコウをした友だちと、自転車に乗って行ってしまいました。その後ろ姿に、また、「親が泣くよ。」とあびせてしまったんですが…。(園長先生談)
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もし、自分の子どもが中高校生で、そんなカッコウをして学校をさぼっていたら、親として注意するでしょう。でも、子どもの行動を全て見ていることはできません。また、そんな子どもに対して、小さい頃から知っている大人が、遠巻きに見るだけで話もしてくれなかったら、ちょっと寂しい感じがしませんか。声をかけてくれたり、こんなふうに注意してくれる大人の存在は、本当にありがたいです。親以外にも子どもを見守っている大人がいるんだよ、というメッセージを要所要所で伝えてくれるのが、うれしいです。そういった積み重ねも、地域で子育てするということなのかもしれませんよね。私たちも、そんなことができる大人になりたいなと思ったエピソードでした。
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さて、後日談。園長先生に、「先生のお話をホームページで紹介させてください。」とお願いに行ったところ、「実は、その子とまた会ったんですよ。」とのことでした。「近所のパン屋さんに行ったら、また声をかけてくれたの。今度は化粧を落として髪も黒くなっていて、パン屋さんのユニフォームを着てアルバイトをしていたんですよ。『あれ、もとどおりになったね。』と言ったら、『今だけって約束したじゃん。』と答えてくれたんですよ。」と、うれしそうに話してくださいました。
本当によかったなと思い、つい、「先生、うちの子たちもいつまでも見守ってください。」などと、お願いをしてしまったのでした。
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