芙蓉会病院
    臨床心理士

    蝦名 享子


        NOⅠ
 
 
 












はじめに
  
 私たちはみんな子どもでした。生まれた時からおとなだったという人は一人もいません。みんな、お母さんのおっぱいを飲んでおむつの世話してもらい、だんだん大きくなり、思春期を経て、紆余曲折、いろいろあって大人になり、親になったはずです。

 ところが、低学年までの事はよく覚えているのに、思春期のことは、なぜか思い出せない人は多いようです。本当に忘れているようです。思い出したらギャッと叫びたくなる、記憶のすみに追いやってしまいたいのが思春期かもしれません。

 人の心は「つらいことは忘れる」 という健全な機能を持っています。ともあれ「何でこうなるの?」か、自分でもよくわからない子どもを前に、自分にも思春期があったことを忘れている多くのお母さんは、「何、考えてんの?」と戸惑ってしまいます。
                           
            Ⅰ.揺れる思春期 ー親も成長ー
 高学年、中学生、高校生あたりの、子どもから大人になる途中の段階です。心もからだも、急速に成長、変身していきます。
 人生の中で一番、揺れが激しく不安定で、扱いがむずかしく、親は人間としての資質を問われる正念場のように感じられます。
 今まで の子育てを振り返り、自分の育ち方に思いをはせ、これからの親子関係を立て直す。親にとっても、成長のポイントです。
 





 






 Ⅰー1. 性のめざめ ーからだの変化ー

 思春期といえば、性のめざめと自我のめざめ。この2つが特徴です。始まりは、生殖可能な(つまり赤ちゃんが作れる)からだになること。ぐんと大きくなり、第二次性徴が現れてきます。いやでも、自分が「女性」か「男性」か意識します。
   日増 しに、異性に対する関心が強くなってきます。性のめざめです。男の子と女の子では、 めざめ方が違います。
  

    


   


   


   


   

 



















 
 
  ・女の子の場合  
                           
 女の子は小学校4年生ころから、おっぱいがふくらみ、初潮を迎えます。お赤飯は炊いてもらったけど、初めのうちは来たり来なかったり。
 ホントの事を言えば、痛いし、プ ールに修学旅行・・なにかとめんどう。単純に「赤ちゃんが産める」と喜んでばかりもいられません。

 おっぱいのふくらみも気になってしかたない。ぶかぶかの服でかくしたり苦労します。「人目なんて気にしない!」と叱られても、女の子の気持ちとはズレてしまい、逆効果。
 女性を続けてン十年。羞恥心もやや薄れ、百戦錬磨のお母さんとは違うのです。まだまだウブな女の子。「わかってるけど、人目が気になっちゃう」のです。

 むやみに否定すればするほど、心の奥底で、「女なんかイヤ!女はソン!」女性であることを拒否したくなります。この気持ち、「過食症・拒食症」といった女の子に多い、「痩せたい」病気につながる危険性もあります。
 自分の性を自然に受け入れ、「女の子で良かった」と肯定して生きられたら、素晴らしい人生をプレゼントしたことになります。

            


            


           


           


           


           
 


























 

  ・男の子の場合
 
 男の子は女の子より一年ほど遅れます。声変わりや精通がみられ、たくましい体つ きになってきます。
 「変な声」しか出ないのがイヤで、無理して高い声を出してはからかわれ、話をしなくなる・・なんて事もあります。

 精通は、女の子の初潮と同じ意味があり ます。でも赤飯は炊いてもらえません。ある朝、パンツが汚れていて、あたふた。その前に夢を見てることもあります。

 いずれにせよ、性欲レベルは男の人生でも最高レベル 。しかも快感なので、マスターベーションに夢中ということもあります。
  
 男の子は肉体欲 が先行します。一方、女の子は精神的愛を求めます。そこに男の子と女の子の、大きなすれ違いが生じます。

 今は情報があふれているので、自然に覚えるさ・・という声もあります。しかし氾濫しすぎていて、間違った性情報をうのみにしていることもあります。
 一人で悩んでいるか もしれません。正しい性知識の本がたくさん出ています。正確な情報を与えましょう。
     Ⅰー2. 自我のめざめ -心の変化ー
  自我のめざめというのは、自分で考えて行動するということです。それまでは、親の言うことをきくばかりだった子が、「親とは違う、自分の考え」があると気づきます。
 親の言いなりになっていた自分に嫌気がさして、乱暴な口をきいたりします。
    
  「うるせーな」とか言われたお母さんは大ショック。きめ細やかに愛情を注いできたのに・・。でも子どもは不安なのです。
 自分がこの世の中で誰とも違う、たった一人の存在だと気づき始めたのですから。

 この不安な感覚は10歳ごろから始まります。それまで一人で平気で寝ていた子どもが、急に恐がりになって、親と一緒に寝たがったり、トイレについてきてもらいたがったりします。
 電気を消したか、鍵をかけたか、何度も確かめてしまう強迫神経症とか、ノイローゼになる子どもが見られるのも10歳ごろです。
 

















 
                            

 自我のめざめは、社会の矛盾にも目を向けさせます。大人に対する見方が変わり、「大人はずるい」「汚い」と許せなくなる。
 親や先生の権威にも、やたらに反抗したくなる。いわゆる反抗期です。しかも「見た目は大人」になっていますから、周囲の扱いもちぐはぐ。
 「まだ子どもだから」と許されてたり、「もう大人でしょ?」と叱られたり。一体、どうすりゃいいの?
 半人前の扱いに、イライラと腹を立て、ささいな事でやたらに怒り出したり、かと思うと赤ちゃんのように、親にべたべた甘えてきたり・・。挙動不審、意味不明です。 
 
 













 



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       次回特集・・・お母さん・思春期・子育て 《NO.2》
              「Ⅱ思春期にクリアしておくこと」を予定しています(3月初旬)
      


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