芙蓉会病院
 臨床心理士

 蝦名 享子


  NOV
 


 V 思春期の心の問題
 揺れる思春期。心の問題を抱えやすいです。大きく二つに分けます。
 反社会的なものと非社会的なもの。前者は行き過ぎると殺人に、後者は行き過ぎると自殺ということになりかねません。

    ●反社会的なもの
 
 ・万引き
 我が子が「万引きした」と聞いたら、親は「とうとう泥棒になったか」と非常にショックを受け、子どもを疑うようになります。

 「物を盗る」というのは「愛情をとる」と同じです。
つまり関心を向けて欲しい子が、物を盗ることで心の飢えを満たしているのです。

 ・いじめ・暴力
 自立に苦しむ中で、「親がいるから悪い」と問題をすり替えてしまう子がいます。
そのあげく親に暴力を振るうことで、つながりを絶てると錯覚し、家庭内暴力になります。

 また、他の子をいじめたり、学校のガラスを何枚も割ったりする暴力の子がいます。そういう子は家庭でいじめられている場合があります。
 
 親が「しつけ」と称して子どもを殴って虐待していたり子どもの目の前で派手な夫婦げんかを見せたり。これは、子どもに暴力の家庭内学習させているのと同じです。
うちでいじめられているので、うっぷん晴らしに、外でいじめます。
 















  
 



  
  ●非社会的なもの

 ・不登校:
 今から30年ほど前から、「学校に行きたいのに行けない」「学校が怖い」と訴えて行けなくなる子が見られるようになりました。
 その数、今や全国で13万人。昔は登校拒否と呼ばれまし
たが、きっぱりと登校を拒否しているわけでない子も多く、現在は「不・登校」と、登校をしていない状態として呼ばれるようになりました。
 不登校はいくつかのタイプに分けられます。

 [不登校の7つのタイプ] 

 1.分離不安タイプ:
小学校低学年によく見られる。母親から離れることに強い不安がある。
2.良い子の息切れタイプ:
良い子が、ささいな失敗に挫折感を強く持ち登校できなくなる。 
3.甘え依存タイプ:
甘やかされて育ち、未熟で、依存心が強く、がまんができない。 
 4.無気力タイプ:
怠けタイプとアパシーに分けられる。
 5.学校生活に問題があるタイプ:
いじめをする子がいる。教師と上手くいかないなど。
6.神経症等を伴うタイプ:
各種神経症や、精神病が原因で登校できなくなる。摂食障害(拒食症 過食症)やリストカットなどの自傷行為がともなうこともある。
 7.発達・学力遅滞等を伴うタイプ:
軽度の精神遅滞、自閉、LD、ADHDなど。相互交流について生まれつきのハンディキャップがある。場が読めない。こだわりがあり、周囲と協調できない。 変わり者扱いされたり、いじめの対象になりやすい。
         

   タイプ分けはされていますが、そんなではありません。
  現在、全国の公立中学校では、スクールカウンセラーの配置が進んでおり、社会資源を活用しながら一人一人に合わせたさまざまな援助がなされています。 

 

  拒食症・過食症(摂食障害)

 −女の子、最大の危機!−

  拒食症や過食症はテレビドラマや女性週刊誌でも何かと取り上げられています。お母さんはご存じでしょう。

  拒食症は「痩せたい」と願い「食べなくなる」ので、ものすごく痩せます。あげくに生理がなくなります。
  


  飲まず食わずで、ぐったりしているかというとその逆で、汗だくで運動します。
 家族の前では食べないのに、皆が寝静まってからこっそり起き出して冷蔵庫を空っぽにする。
 食べてしまってから「太っちゃう」とおびえ、吐いたり下剤を大量に飲んだり、「なかったこと」にしようとやっきとなります。

  ボディイメージも歪んでしまい、はたからはガイコツかミイラのようにしか見えないのに、本人は「まだ太っている」ようにしか見えなくなります。

   餓死したり、電解質の異常で、突然心臓が止まることもあります。
 「ただのダイエット」と甘くみてはいけません。れっきとした心の病気。しかも、死に至るおそろしい病気です。
    また拒食が一転、食べ過ぎる「過食症」になる場合が往々にしてあります。食べる量は半端ではありません。
 例えば、いっきに菓子パン10個と、流し込むためのペットボトル3リットル、甘いものしょっぱいもの・・むさぼり続け、次には「食べ過ぎた」と吐き続けます。
 
 一日中、食べることと吐くことで時間が過ぎ、学校に行く事もできなくなります。食費もすごくかかります。
 罪悪感が強まり「こんな私なんか、いなくていい」と、リストカットなどの自傷行為を繰り返す子もいます。

 
以前に中3の拒食症の女の子に会ったことがあります。
ガイコツのように痩せてゆくその子に向かって、お母さんが「食べなさい!スタイルばかり気にして!それじゃ、高校に入れないよ!」と叱りとばす。

女の子はだまってうつむいている・・そんな光景を見たことがあります。親子はずっとこんなやりとりだったのでしょうか。そうならざるえなかった、家族背景がありそうです。
 


 










 
 
  「痩せていることが美しい」と書き立てるマスコミの影響は、はかりしれません。
  
  テレビやファッション雑誌には、痩せすぎのモデルばかり。影響を受けやすい女の子たちが「痩せてなければ、価値がない」と思いこむのも、理解できないわけではありません。
  
  しかも今や、メタボリックシンドロームはいかん!ということで、男も女も痩せたいと願うのは普通かもしれません。

 しかし、拒食症になるのは、圧倒的に思春期の女の子(男性の発症率はわずか0.5%)です。それが「(丸みを帯びた)大人の女性になりたくない」と女性性や成熟を拒否していると言われるゆえんです。

 一方、ダイエットはしても摂食障害になる子と、そうじゃない子がいるのも確かです。
 拒食症に陥る子は完璧主義者。全てが「黒か白か」。強いコントロールを保ち続け、思いこんだらやり遂げるパーソナリティの持ち主です。

 人間関係のまずさも、やる気のなさも、何もかも「痩せれば解決!」と思っています。どうやら、拒食症の女の子には共通の心の癖があるようです。
 
 

・対人恐怖症(「社会恐怖」)


思春期は自分が見えてきます。ということは他人の存在を強く意識することにもなります。
他人からどう見えるのか?と強く意識します。
だから、容姿にも強くこだわり始めます。
 
  

 
 人といることに緊張し、不安になり、相手に不快感を与えているのでは?と心配する子もよくいます。

 たとえば、話している相手のちょっとしたしぐさに、ひょっとしたら自分が臭いからではないかと疑ったり(自己臭症)、顔が赤くなるのでは?と心配したり(赤面恐怖)、自分がみっともないという思いこみから人前にでられなくなったり(醜形恐怖)、自分がいつも人から見られ
ているように感じてぎごちなくなる(視線恐怖)など、症状によりさまざまな名前で呼ばれています。

 

  
 
  ページトップへ戻る▲


 子育て情報トップページへ戻る