子育て(得)情報

「あおもり子育てネット」の過去記事を再編集して掲載しています。

「自ら然くあるままに、育てよ児どもら」(4)懐かしく新しい、青森の自然育児・自然教育

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  1. 自然だから安心、自然だから育児が楽しい!《自然育児友の会 青森
  2. 大丈夫、人は必ず成長する。あせらず“根っこ”を育てよう《十和田シュタイナー教育を学ぶ会》
  3. 自然の中で体験することは、世界中みな同じ。 《ガールスカウト 青森県支部》
  4. 自然に育て、自然に育てられる。《白神山地を守る会/NPO法人 白神一ツ森自然学校》


4 自然に育て、自然に育てられる。
《白神山地を守る会 / NPO法人 白神一ツ森自然学校》 

白神山地を守る会 / NPO法人白神一ツ森自然学校(鯵ヶ沢) 
代表 永井雄人さん

◆ 山、川、そして海。田畑と里山に囲まれた、地域の自然学校。

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白神山地の麓、赤石川流域。国内外、または世界各地から、世界遺産「白神」の息吹に触れるため、多くの人が訪れる。

 山・川・海に囲まれた、緑深い里山の小さな廃校。自然保護の観点から、ブナの種を拾い、苗木を育て、山への植樹を行っていた「白神山地を守る会」が、地元住民の在野の知恵を伝えようと立ち上げたのが、NPO法人「白神一ツ森自然学校」だ。

 年間を通じ、様々な世代を対象とした、四季折々の自然体験プログラムが用意され、地域スタッフのサポートで、それぞれが白神地域や自然環境について肌で感じ、その体験を持ち帰る。 豊かな白神の自然環境の中で、人が育ち、地域が育つ仕組みを子ども達と共に考える。それが一泊二日のエコスクール。校舎内にテント泊する1泊2日の日程。内容は、ブナの苗木を山に植樹し、ブナ林を散策。ブナの木工を手がけ、川沿いの養魚所を見学し、川で戯れ、そして海に下る。

 学校の隣りで育てた稲と野菜を、清流・赤石川の水で調理する。その食事を、木造校舎の教室でいただく。
 
 「ご飯、おいしいね。」「水がおいしいからだね。」「空気もだよ」
自然と子ども達の感性が開かれ、敏感になっていくようだ。


◆ 自然の大きさを肌で感じる。子どもの心も大きく広がる。


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 芽を出してから50~70年してやっと種をつけるというブナの木。その種を拾い集め、数年かけて苗床で育てた苗木。大事な「ブナの子」を掘りあげ、荷台に乗せる。

 そこからバスで、山道を延々数時間。見渡す限り、山、また山。
「山って大きいなぁー!」「こんな山奥に木を植える必要あるのかな?」

 ブナ林の純度の高さで世界遺産認定された白神でさえ、戦後植林された杉林がたくさんある。その後林業の不振で荒廃した山林を元に戻すために、海へと続く赤石川源流の近くにブナを植えなおしているのだという。
「この山が川を育て、海を育てているからね。」と永井さん。

 急な斜面で大人の手助けを借りながらも、自ら鍬を手に土を掘り、苗木を植えた子どもたち。「大きくなれよ」と声をかけ、しっかり根元を踏み固める。雨にも負けず、風にも負けず、いつか自分が植えたこの木がこの山になり、川と海を育てるように。

ヤマブドウを探してブドウヅルを見つけ、「すっぱーい!」と叫びながらつまんだり、樹齢250年というブナの木に触れ、その大きさに感動したり。
「自然の大きな空間に包まれることで、子どもの心も大きく広がるんです。」と話す永井さん。子ども達は体と心いっぱいに、木を、山を、味わっているようだ。

 夕食後、親を対象に「危険なこどもたちの環境」についてミニ講座が行われた。 自然体験学校を主宰し、多くの子ども達や学生と関わりあう中で、感じてきた実感だという。

 「子供の成長過程には、年齢に応じて多くの発達段階があります。その時期に子どもが自然に興味や関心をもった対象に、子どもが納得するまで徹底して体験させる。それを親は一歩下がって愛情を持って見守ることが大切です」と話した。

  もし十分な愛情と深い理解ある眼差しで見守り、自発的な体験を十分させてもらえた子は、「自分に自信を持ち、自立することができる。」つまり「自然と他者に対して優しくなれる」と言う。

 逆に「それはだめ」と自主性を奪ったり、「もっとこうしなさい」と急かされたりして、体験が満たされていないと、自信が無く社会で孤立したり、他人に自分の存在を認めさせようと極端な行動を起こしたりとする。自分で実感する体験をつまないと、他者への感動や理解力が働かないからだ

 核家族化が進み、情報化が進む中、忙しい大人は、子どもが自然に発するシグナルを見落としがち。「親は社会変化の速さに惑わされず、家庭の安定を守り、自分の内面にも目を向ける余裕を作ろう」、そう永井さんは語った。


◆たっぷりの愛情で、思いっきり体験。子どもの自信が育っていく。


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かつて永井さんは、スウェーデンの森の中で子どもを育てる「ムッレ」という児童教育を学んだ。白神山地の「森の学校」が持つ効用に触れ、「次世代を担う子ども達に、自然と人間がどうやって共生してきたか、共生していくべきかという知恵を、言葉や文字ばかりではなく、『体感』する機会をつくってほしい」と呼びかけた。

翌日、ビジターセンター「ハロー白神」の見学に向かう途中、道端にウサギの屍骸が横たわっていた
あっ、ウサギだ!」「死んでる!」「えーっ、見たーい」
と子ども達。

 すると永井さん「見たいの?じゃあ…」と言って、そのウサギを隠すことなく、子どもたちの前に持ってきて見せた。

顔をゆがめる大人とは対照的に、むき出しの好奇心を見せるこどもたち。じっと覗き込み、おそるおそるつついてみる
「かわいそうだね…」「かたいね…」「山に帰ろうと思ってひかれたのかな」

神妙な面持ちで、それぞれに『死』と向きあい、じっと理解しているようだ。


 また養魚場見学の帰り、川で魚を捕まえたい!」と言い出した子どもたち。その場には着替えもタオルも持ってきていない。けれど永井さんは「ダメ!」と止めたりはしなかった。川に入っていく子どもたちをニコニコ見守りながら、一緒に石をひっくり返して稚魚を探している。

「子育ては、その時期にその期間で必要としている愛情を注ぎ、徹底的にいっしょに体験することで、自信がつく。」そう語った永井さんの理念と実践がそこに見て取れた。
「帰りたくないなぁ。」「楽しかったねぇ・・・!」

 たっぷりとした空間と時間を体で実感した子どもたち。伸びやかな子どもたちと共に、大人も健やかな気分に立ち返った。

 子どもも自然。大人も自然。身近な自然を育てに出かけ、自然に心を育てられる場所がある。

 ここ青森の、自然の中で。

「白神山地を守る会」・
「NPO法人
白神一ツ森自然学校」
へのお問い合わせは・・・


●白神山地を守る会
事務局
TEL/FAX017 743 8314
preserve*shirakami.gr.jp

●NPO法人
白神一ツ森自然学校
事務局
TEL 0173 82 7057
school*shirakami.gr.jp

●スパム対策のためアドレスを変えてあります。
 メール送信時は*を@に直して送信してください。

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おわりに

「子育て」ってなんだろう。
「自然」ってなんだろう。
そこからこの特集は始まりました。

取材を重ねる中で出会ったのは、
子どもたち一人ひとりが持つ
「自然な力」を信じて見守る、大人たちの姿でした。

この取材も終わりに近づいたある日、
小さな子どもたちの会話が耳に止まりました。

自然ってね、昨日と今日で違うこと。毎日違うことだよ。

そうか、そうなんだ。
生きてること、死んでいくこと。自然に変わっていくこと、その毎日が君たちの自然なんだね。

どうぞ自然豊かな青森で、
大人も、子どもも、
“自(みずか)ら 然(し)くありますように”。



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