子育て(得)情報

「あおもり子育てネット」の過去記事を再編集して掲載しています。

子育て支援から「子育ち・子育て・個育て支援」に 【全ての子どもと大人には本来「力」がある】《第2回》

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 【2】. 一人一人の個性と能力を発揮して ともに生きることのできる社会の実現をめざして
 
《松葉谷 温子》
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私たちが生きている現代社会を、「ひと」としての力・人間力を発揮しやすい社会か否かの視点で見直して見ましょう。種として獲得してきたシステムとしての「力」は、DNAレベルで人為的に簡単にはどうこう出来るものではありませんが、遥かに短いスパンで変わる社会のあり方は、人為的に為された変化です。
次代を担う子どもが、人間として基本的な能力・力を獲得し、育み鍛えるに相応しい環境・社会のあり方を選択し、つくり直すことに、大人の当事者として関わることができるでしょう。
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 1.「豊かさ」のもたらした矛盾を超えて、真の「豊かさ」とは

  これまで高度成長の時代を経て、丁度今の中国やインド、東南アジア等の諸国の状況を見ると、20~30年前に子育てしていた頃を思い出します。

 多くの人が物質的豊かさを追い求め、また努力さえすればそれが手に入るという比較的単純で目標を定めやすい時代でした。このような時代が大きく変わり始めていた2004年に縁あって、市役所で仕事をする機会を得て、行政の役割が大きく変わりつつあり、変わらざるを得ないことを思い知らされました。人・国民の意識や習慣・慣行は戦後をそのまま引きずっている状態だと痛感しました。

 現代社会を貧困化社会に対し富裕化社会と呼び、その特徴の人間の育ちにとってのプラスとマイナス面を対比することで、その像と課題を浮かび上がらせ、「人が育ち生きる・家族支援の必要性を説く考え方(大阪市大教授・畠中宗一)」を見て、現代社会に生きる当事者としての関わり方を考えてみます。

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  富裕化社会の+の特徴
利便性、快適性の追求、家族機能の外部化=サービスの商品化と外注、不快感の排除
(エアコン、紙おむつ、個室、ICT機器・・)
個人単位、家族単位で生活を自己完結できる、私事化の促進・肥大化、集団としての家族の側面の過小評価=対人関係や葛藤を回避する傾向
生産的・課題達成型の価値観の重視、メンテナンス(整備維持管理ケア・・)の過小評価
生活力の訓練の機能低下
  富裕化社会の?の特徴
動物的な身体感覚の衰退、家族機能の低下
(五感の鈍化)
お互いが助け合わずに生活できる、社会的な関係を必要としない、規範意識の希薄化、(他人を意識しない生活、ひきこもり現象を支える、不登校、援助交際=被害者のない犯罪・合意形成)、関係性の中での自立=情緒的自立が促されない、想像力の貧困
その価値観になじまない受け皿がない。メンテナンスに相当する役割がなく、他の家族への心・配慮・感度の衰退、情緒の発達の機会を奪う。

 この現代社会のままの延長上には子どもの発達も真の豊かさも保証できないでしょう。

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  1)行財政改革は、一人一人が自家発電装置を持つこと

 国の構造の転換、意識の変革等行政改革の真の目的・コペルニクス的転換のために、エネルギーを自ら供給し自主運営する国民・住民をいかにサポートするかが非常に重要になります。

 つまり、一人一人が本来持っている力を発揮しやすくし、その自主的な力に国や社会や地域の将来をゆだねうるようにする変革だと思っています。国民・住民・当事者がそれぞれのライフステージで自分らしく幸せに生きている実感を持つには、自ら納得のいく選択をしていくことが重要です。
納得のいく選択には、ここに起こる事柄や課題について正しい知識を得ることが不可欠です。知は力なりです
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2)無意識になっている習慣・行動様式を意識化してライフスタイルを変える

 この様々な面での多様性を認め合わざるを得ない、社会的・経済的・文化的激変の時代に生きるには、そのライフスタイルを変えざるを得ないわけです。
より大きな・広い目的の達成という意味づけを理解し、主体的に関わることとならないかぎり、新たな習慣への切り替えは難しいと考えます。

 私は時々「夕鶴」「鶴の恩返し」の与兵のことを思い浮かべます。欲望は直ぐになれ、更なる要求へと駆り立て、飽くことがありません。 
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  3)人との関わりの豊かさが人間力の開花を促し
人への感度を磨く
 

  コミュニケーション能力、人間関係・対人関係をつくる力、感情をコントロール
する力は、日々の生活の中で「人と関わること」を通して培われるものです。

 大人たちが良かれと思って求め続けてきた生活に、経済・産業界も拍車をかけ、便利さや快適さを追求してきました。それに反比例して、衣食住・介護看護・養育等のサービスの外注による家族機能の外部化は家族機能を低下させ、近隣・地域・コミュニティ等との関わりが薄くなっていったのです。

 小児科医は、関係性に課題のある子どもや親の増加、また健診が子どもの病気の診断から親の養育指導へと変化していることを指摘しています。
 そして、将来日本社会は、ロボットによりその快適さや便利さ、効率性を満たす方向を目指していくのか、あるいは科学技術を上手に活用して人間との共存を考えていくのかの選択のときを迎えています。
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 昨年、10日間ほど北欧三国の子ども政策視察ツアーに参加しました。北欧では国・社会の中心に「人・人間が生きること」をすえているというのが率直な印象でした。三国は一律ではありませんが国の主要な資源として「人間」を位置付けているのです。

 「バリアフリー」ひとつとっても、日本ではできるだけ他人に迷惑をかけず、その人の力でできるように障害になるものを取り除くことが見受けられますが、北欧ではお互いに暮らしているという感覚で、石畳や段差、階段などで困っている時には、周囲にいる人が自然に手を差し伸べるという具合の「人」を入れたバリアフリーです。

 もちろん石畳にあった乳母車のチューブ入りのタイヤなど、そのような環境で暮すに必要なハードやソフトの手立てはしていますが、それをスムーズにしているのは人の手や心なのです。問題をことさらに騒ぎ立てるより、よいところをのばし広げ認めあう、「ともに生きる」という空気を感じました。

 ちなみにノルウェーの保育園・幼稚園では、人の話を聴くこと、自分のことばで自分のことを表現することを教育の目標にしていました。
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  4)人が資源人を大切にする社会のあり方私事から私たちごとへ

 日本も、科学技術をよりどころとしてきましたが、進んだ科学技術を生み出し担うのは「人」であり、人が将来も変わらぬ最も重要な資源といえるでしょう。
もっと本来持っている子どもの可能性を開花させるに相応しい社会のあり方に、永い見通しに立った、実質的な対応・対策が実行されることを願います。

 この日本社会を、そして地域をつくっているのは私たち一人一人です。
公共の担い手として、自らの「幸せ創造の当事者」として、大人は社会にどのように関わるかを自覚的に選択していくことです。

 やっと「ワーク&ライフバランス」ということばが言われるようになり、少しずつではありますが、少子化対策も、働く人への子育て支援から、こどもへの関わりの視点を入れたシステムとしての家族のあり方に大きな影響を持つ「働き方・働かせ方」の変革へ踏み込んできました。
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 これが子どもの成長を保証する国のあり方として、総合的な取り組みになることを願います。
社会の中で「子どもの権利、子どもとして尊重される権利・・」が社会の空気としてあたりまえになる。このことは結局は目前の不利益を懸念するより「損して得取れ」のごとく、多様性の受容とより重要な大きな目標の共有により、国民の主体的エネルギーを「人・子ども」を中心においた社会づくりへと、より現実味を持ってくるのではないでしょうか。

 すでにに多方面・多分野・多形態の民による活動が、新しい公共の担い手として社会に芽吹き育ちつつあります。
この民的資源の成長蓄積の流れがあってこそ、行政の唱える「協働」も多様な連携相手を得ることができるようになります。そして、より目的達成のための実質的協働が可能になり、ソフト面での行財政改革になるはずです。
つまり行政は民と競合するのではなく、互いの長所を活かし、新たな役割を獲得していく必要があるのです。そのための行政内部の協働が不可欠です。
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  5)住民は当事者意識と行動力を支える学び 

行政の変革は時間の問題です。
 住民も、契約と受益者負担、自己責任を求められ、行政への参画の機会も格段に広がる中で、時代の変化に相応しい意識の変革、すなわち主体的に自分が暮らす地域や社会に関わり、意思表示をし、必要なら行動する
 当事者意識を持つこと、そしてその行動、関わりを自分・自分たちにとってより確かなものにするための「時代」(いま・将来にむけて)の学び=障害を乗り越える生涯学習が非常に重要になってきます。
 
転んだ時の杖 転ばぬ先の杖 要は、たった一回の人生を納得して味わえるには人生への主体的関わりと責任は必要条件だということです。

納得の中にもちろんそれぞれのテンポと多様性を認め合うことが前提としてあり、それが人権尊重の社会でもあるのです。
 
一人の力、一人の思いはささやかでも、自分や自分たちのために暮らしやすくする行動を共に楽しみながら、納得して進めましょう。
 意味ある目的のための行動は、良いストレスとして私たちの人間力を刺激しますし、新たな人との出会いをもたらします。


 
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